ELFEM

日常の時間価値を高める、
家庭用雑貨ブランドの立ち上げ。

 

ものづくりの美学を、日常に。

ELFEMは、コロナ禍の最中に新たに立ち上げられた家庭用雑貨ブランドです。「家で過ごす時間をもっと豊かにしたい」という想いから始まり、ブランドの第一弾プロダクトとして包丁を開発することが決まっていました。

プロジェクト初期の段階では、明確なブランド像や方向性はまだ定まっておらず、「自分用にも贈り物にも選ばれる包丁をつくりたい」という想いだけが出発点でした。

私たちは、ブランドコンセプトの開発から参画し、ネーミング、ロゴデザイン、プロダクトデザイン、パッケージデザインまでのクリエイティブを一貫して担当しました。
“機能的であること”に加え、“手にした瞬間に心が動く体験”をどう生み出すかをテーマに、ELFEMというブランドの世界観をゼロから構築していきました。

Client

株式会社エルフェム

Project member

Art Director:細川 誠明
Designer:NENEKO

 
 
 

「上質な日常」を生み出すブランドへ。


ブランド名 ELFEM(エルフェム) は、フランス語の elegant(エレガント) と femme(女性) を掛け合わせた造語です。「日常の中に上質さとしなやかさを宿す」という想いを込めています。
ネーミング開発では、単なる製品名ではなく、“感情を豊かにする道具を生み出す姿勢”そのものを表現できる言葉を重視。その結果、強さと優美さを併せ持つ女性像を象徴するこの名前が、ブランドの核として定まりました。
明確なステートメントを設けず、「上質」「洗練」「静けさ」「幸福感」といったキーワードを共有することで、感覚的に伝わるELFEMらしい世界観をデザイン全体に貫いています。
ネーミング開発にあたっては10案以上の候補を提示し、クライアントと意見を交わしながら多角的に検討を重ねました。また、提案前には商標登録の調査を行い、同一・類似業種における登録上の問題がないことを確認したうえで、最終候補を選定しています。
 
 
 

静寂と均衡を象るシンボル


ELFEMのロゴは、「上質な日常」「豊かさ」「静けさ」、そして「家で過ごす時間を豊かにする」というブランドの価値を、視覚的に表現することを目的に設計しました。
余分な装飾を排した均整のとれた幾何構成は、上質感と洗練さ、穏やかな強さを内包した佇まいを生み出し、三角形を基調とした構成の中に設けた“余白”は、強さと優美さを併せ持つ女性像を重ね合わせたもの。見る人の内側に静かな余韻を残すシンボルとしています。
タグライン “enrich your time at home” は、「暮らしの時間を豊かに」という想いを、静かに、しかし確かな芯をもって伝える言葉です。
 
 
 

機能と造形、そして“こだわり”の融合。


ブランド初のプロダクトは「包丁」で、その三徳包丁とペティナイフのプロダクトデザインを担当しました。
「幸福感を味わえる」「上質な生活を実現する」「心が豊かになる」この3つの柱を軸に、単なる道具ではなく、日常に幸福感をもたらす存在を目指して設計を進めています。ステンレス一体構造による高いメンテナンス性と耐久性、多角形ハンドルが生む安定した握り心地、そして岐阜県関市の研磨技術が支える切れ味。すべての要素を「上質な日常」というブランド理念から逆算し、機能と造形が調和したプロダクトに仕上げました。
 
 
 

開ける瞬間の“体験”を設計する


パッケージデザインにおいて求められたのは、自分用としてはもちろん、贈答用としても成立する包丁であることでした。機能的な道具でありながら、贈られた瞬間に心が動く体験までを含めて設計できないか──その問いから検討を始めています。
一般的な包丁は刃を寝かせて収める構造が多く、合理的ではある一方で、開封時の印象は淡白になりがちです。そこで私たちは、開ける瞬間の驚きや高揚感までを含めてデザインすることこそが、ELFEMのブランドコンセプトにつながると考えました。
包丁の見せ方や収め方、取り出し方まで多角的に検討し、製造会社とも連携しながら実現可能性を探っていきました。
数多くのアイデアを検討し、現実的な可能性へと絞り込みながら、クライアントとの対話を重ねた末に辿り着いたのが、包丁が“突き刺さる”ように収まるパッケージ構造です。
日本刀にも通じる緊張感と造形美を備え、「切れ味」「精度」「静けさ」といったELFEMの価値観を直感的に伝える表現となりました。
一方で、方向性が定まった後も課題は続きます。刃物特有の安全性や輸送時の安定性、素材や箱の強度など、製造フェーズでは新たな検討事項が浮かび上がりました。そこで製造会社の知見と工夫を取り入れ、薄いウレタンを複層に重ねた構造や、刃先をしっかり固定する機構を採用。視覚的なインパクトを保ちながら、安全性と輸送性の両立を実現しています。
黒い外箱には、しっとりとした質感の紙を用い、ロゴにはクリア箔を施すことで、主張しすぎない静かな上質感を演出しました。蓋を開けると、透明な内箱越しに包丁が凛とした佇まいで現れ、その瞬間に自然と緊張感と高揚感が生まれます。
道具としての機能や美しさだけでなく、「贈られる」「受け取る」という行為そのものを豊かな体験へと昇華させること。パッケージは単なる保護材ではなく、ブランドの世界観を伝える最初の接点として設計されています。開封のひとときまでも含めて、ELFEMが大切にする“上質な日常”を体感できる仕立てとしました。
 
 
 

ブランド価値の持続性


ELFEMが示したのは、“モノを売る”から“時間を豊かにする”への発想転換。「暮らしの時間をどう豊かにできるか」という問いを軸にブランドを構築しました。
単なるプロダクト開発にとどまらず、包丁という生活道具を再定義し、職人技とデザインの融合によってブランドの世界観を構築してきたプロジェクトと言えます。これは、短期的な販売効果ではなく、ブランドの持続的な価値形成に直結する成果となりました。
静謐さを大切にしたデザインやトーンは、長く愛されるブランド価値の持続性を担保し、ブランドが時代の流れに左右されず成熟していくための、強固な基盤として機能しました。

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