じぶんらしさの出し方
先日、ファシリテーターを務めたトークイベントのテーマは「じぶんらしさの出し方」。
私ことBOSSは「日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)」に所属し、大阪地区の担当幹事も務めており、そのご縁からデザインやクリエイティブ関連のトークイベントに登壇する機会が多くあります。
先日開催されたのは、関西クリエイティブ業界の三団体、「大阪コピーライターズクラブ(OCC)」、「日本広告写真家協会(APA)」、そして私の所属する「JAGDA」による合同トークイベント。
その中で、私は未来を担う若手クリエイターが集う「若手の部」のファシリテーターを任されました。
当日のトークテーマが、まさに「じぶんらしさの出し方」。
グラフィックデザイナー、コピーライター、フォトグラファーという異なる分野で活躍する三名の若手たちが、それぞれの経験や考えを熱く語り合い、クロストークは大いに盛り上がりました。
さて、イベントの熱気を思い出しつつ、改めて皆さんに問いかけたいと思います。
業種は違えど、皆さんは日々の仕事の中で「自分らしさ」を発揮できているでしょうか?
そして、もっと深く掘り下げて考えると、そもそも仕事において「自分らしさ」は本当に必要なのでしょうか?
この問いに対する答えは、業種、職種、そして役職によって様々かもしれません。
ただ一つ言えるのは、「個性」を出すことと「我(エゴ)」を出すことは、似て非なるものだということです。
仕事においては、クライアントの要望やチームの目標を理解し、柔軟に対応する姿勢が不可欠です。
実際、クライアントから「昔は、こちらの要望を全く聞いてくれないデザイナーもいたんだよ」という話を聞いたことがあります。プロフェッショナルとして、独りよがりな姿勢は避けるべきでしょう。
しかし、だからといって、個性を完全に押し殺して仕事をするのが正解だとは思いません。
なぜなら、個性こそが、その人ならではの魅力や強みにつながるものだからです。
画一的なアウトプットばかりでは、どこか物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。
では、肝心の「自分らしさ」をどう仕事に落とし込んでいけば良いのでしょうか?
特に、私たちの本業であるデザイン制作の現場においては、「さあ、ここで自分の個性を全開にしよう!」と意図的に表現しようとすると、かえって不自然になってしまうことがありますし、もうそれは「エゴ」「自己満足」以外のなにものでもないと思います。
むしろ、長年の経験を通して培われた独自の視点や、何気ない日常から得たインスピレーション、そういったものが、ふとした瞬間に制作物に表れる。そんな、意図せずとも滲み出る「らしさ」こそが、見る人の心に深く響くのではないでしょうか。
「あ、このデザイン、どこか〇〇さんらしいな」と感じさせる、そんなさりげない個性が、実は大きな価値を生み出すのかもしれません。
もちろん、「自分らしさ」が発揮されるのは、制作物だけではありません。
クライアントへの提案の仕方、プロジェクトの進め方、チームメンバーとのコミュニケーションの取り方。そういった日々の仕事のプロセスにも、その人の個性は自然と表れるものです。
丁寧なヒアリングで相手の潜在的なニーズを引き出す力、複雑な課題を整理し分かりやすく伝える能力、時には場を和ませるユーモアのセンス、そして何よりも、仕事に対する真摯な姿勢。
そういった、その人ならではの個性が、クライアントに「この会社にお願いしたい」「この人と一緒に仕事をしたい」と思わせる大きな要因になるのではないでしょうか。
多様な個性を持つメンバーが集まるデザイン会社は、きっと魅力的です。
それぞれの「らしさ」が共鳴し合い、時にはぶつかり合いながらも、そこから新しいアイデアや価値が生まれていく。そんなダイナミックな創造の現場こそ、私たちが目指す場所なのかもしれません。
今回のトークイベントを通じて、改めて「自分らしさ」という普遍的なテーマについて深く考える機会を得ました。
登壇してくださった若手クリエイターの皆さんの熱意に触発され、私自身も、自身の仕事における「らしさ」を大切にしながら、これからも様々なクリエイティブ活動に取り組んでいきたいと思っています。
冒頭に紹介したトークイベントのレポートはこちら