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先日、ダンスイベントのパンフレット制作で、数多くの「ダンサーのシルエット」をリサーチしていた際の話です。
パンフレットイメージに合う「適切なポーズ」を探していたところ、シルエットの多彩な表現力と奥深さに気がつきました。
シルエットはとても「要素が少ない」ですが、決して「情報が少ない」わけではありません。
色も表情も、衣装の質感すら表現されていないのに、シルエットには驚くほど多くの情報が詰まっています。
例えば、膝の角度や指先の伸ばし方一つで、それがバレエなのかヒップホップなのか、あるいはコンテンポラリーなのかが瞬時に伝わります。
また、静止画であるはずの影から、「自信に満ちたダンサー」なのか「繊細な表現者」なのか、その人物のバックボーンまで想像させてしまう力があります。
更に不思議なことに、そのシルエットを描いたデザイナーがどこの国の人なのかさえ、線の曲線美や重心の捉え方から、
どことなく滲み出ており感じることがあります。
ここで小話・・・
人間には「ゲシュタルト心理学」と呼ばれる、欠けている情報を脳内で補完しようとする性質があります。
シルエットデザインにおいて、デザイナーはあえて情報を引き算します。
しかし、それは「消す」作業ではなく、観る人の想像力を借りて、より強固なイメージを「完成させる」作業に近いです。
例えば、ほんの数ミリ首の角度を変えるだけで、哀愁が漂ったり、力強さが生まれたりします。
普段私たちが目にしている「ピクトグラム(文字を使わずに単純化された図記号で情報を直感的に伝える「視覚言語」)」も、究極のシルエットです。
色や装飾に頼らず、形だけで「正しく、深く」伝えること。
今回のパンフレット制作を通じて、改めて「線の1本1本に意図を込める」ことの大切さを再認識しました。