先日、ある化粧品ブランドのパッケージリニューアルについてご相談をいただきました。
そのブランドは複数のラインで商品を展開しており、今回のご相談は、そのうちのひとつのラインにおける複数アイテムのパッケージリニューアルです。
入り口としては「既存商品のパッケージをリニューアルしたい」というご依頼でしたが、こうしたシリーズものの案件で大切なのは、単に各アイテムの見た目を新しくすればよいわけではない、ということです。
今回のラインは、ブランド全体の中でどういう立ち位置にあるのか。
他のラインとはどのような関係性にあるのか。
ラインとしての統一感をどうつくり、アイテムごとの違いをどう表現するのか。
そうしたところまで整理していかないと、パッケージだけをきれいにしても、ブランドとしての見え方が整いにくいと感じています。
また、リニューアル案件の場合、「なぜリニューアルするのか」という背景にも意識を向けるようにしています。
例えば、既存パッケージに視覚的な課題があるのか。
競合商品と比べたときに、見え方に弱さがあるのか。
商品の中身や仕様が変わったことで、パッケージ側の表現も更新する必要があるのか。
リニューアルには、必ず何かしらの理由があります。
その理由を整理しないまま見た目だけを変えてしまうと、印象は新しくなっても、本来解決すべき課題や目指すべき目標には届かないことがあります。
今回も、すでにブランドとしてのVIは存在していました。
ただ、それがライン全体のパッケージ展開に十分に落とし込まれているかというと、まだ整理できる余地があるように感じました。
ラインごとの印象に少し差があったり、アイテムごとの見え方にばらつきがあったり。
そこをどう整えるかが、今回の大きなテーマのひとつでした。
私たちが意識したのは、ライン全体の「佇まい」を整えることです。
ただ単に見た目を整えることだけを目的にするのではなく、ブランドらしい雰囲気を醸し出し、そのシリーズの印象をポジティブなイメージとともに届けること。
静けさや品格、そして強さのようなものが、自然と伝わること。
そのために、色のトーン、余白、文字の置き方、情報の見せ方などを一つひとつ検討していきました。
一般的にパッケージは、店頭や手元で最初にブランドの印象を伝える接点です。
だからこそ、ただきれいにするだけではなく、そのブランドがどう見られたいのか、どんな価値を伝えたいのかを考える必要があります。
今回の検討では、ロゴ以外のVI要素や、ラインを象徴するシグネチャー、キーエレメントのようなものを設ける可能性も探りました。
実際に最終案へ落とし込むかどうかは別として、そうした可能性まで一度広げて考えることで、何を残し、何を削るべきかが見えやすくなります。
デザインは、足すことだけではなく、整理することでもあります。
既存のブランド資産を活かしながら、今の見え方へ更新する。
さらに、今後の展開にも耐えられるように整えておく。
この視点は、シリーズパッケージのリニューアルでは特に大切だと感じています。
単品のパッケージデザインであれば、その商品単体の魅力をどう伝えるかが中心になります。
一方で、複数アイテムを含むライン全体のリニューアルでは、それぞれの商品が並んだときにどう見えるか、ブランドとしてどのような印象を残すかまで考える必要があります。
つまり、パッケージを整えることは、ブランドの佇まいを整えることでもあるのだと思います。
A.D.GRAPHICAでは、パッケージデザインのご相談であっても、いきなり見た目の制作に入るのではなく、ブランドやシリーズの考え方を整理するところから関わることを大切にしています。
パッケージは単なる外装ではなく、ブランドの考え方や価値を伝える大切な接点です。
だからこそ、見た目を変える前に、まず何を整えるべきかを考える。
今回の案件でも、その部分にしっかり向き合いながら進めています。
- BOSS

今年は例年より梅雨入りが早いものの、いい天気の日が続いていますね〜。